令和3年第1回定例会
令和3年第1回定例会代表質問 ※分割質疑
◆しもむら緑 質問
墨田区議会自由民主党のしもむら緑でございます。この度、2/13の地震で被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げると共に、一日も早い復旧を心からお祈り申し上げます。私達としましても感染症対策に加え、いつ発生するかわからない災害に備え、改めて複合災害の対策に尽力する所存です。
それでは、会派を代表し、大綱2点につき、山本区長及び加藤教育長に質問します。明確で前向きなご答弁を宜しくお願い致します。
大綱1点目は令和3年度の施政方針と予算編成について伺います。
先ず、令和3年度区政運営の基本的な考え方についてです。
山本区長は、令和3年度の予算案を、「ポストコロナを見据えたすみだの未来、持続可能なすみだの実現」に向けた予算と位置付けました。
令和2年度は、周知のとおり、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大から、収入構造や財政需要も大きく変化することが見込まれたため、予定されていた墨田区の羅針盤ともなる基本計画の中間改定及び行財政改革実施計画改定が令和3年度に延期されました。コロナ禍の影響がリーマンショック時を超えるのではないかと懸念されており、財源不足が複数年続く可能性を念頭に、1年繰り延べた後期基本計画等の策定にあたっては、期間の途中で財源不足に陥らないように計画性のある基金の取り崩しが重要です。来年度の一般会計の予算規模は1193億4800万円で、今年度に比べて54億円の減額となりましたが、次年度以降も規模を縮小していく考えなのでしょうか。持続的に自治体運営を行えるように、大幅な軌道修正も視野に入れて、どのように計画の改定を行っていくのか、区長の具体的な考えを伺います。
加えて、昨年から人口が転出超過になっています。これまで本区は転入増加傾向で基本計画も予測を立ててきたため、原因分析が必要と考えます。区長の所見を伺います。
併せて、今後も扶助費の増加が見込まれるなか、時期や規模が明らかにされず、国による不合理な税源偏在是正措置等の税制改正が続くことは、歳入環境が不透明となり、計画的な区政運営の大きな妨げになりかねません。コロナ禍で東京都の税収は減ったものの、全国的にみると依然として突出した高い水準を保っており、特別区の事情を考慮しない新たな国の動きを懸念しています。引き続き山本区長には特別区長会を通じて、国に対して強く主張し、安定した歳入環境の確保に向けて動かれることを強く求めます。区長の所見を伺います。
次に、施政方針及び予算案から10点伺います。
1点目は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の拡充について伺います。
先ず、新型コロナウイルスワクチン接種の具体的実施に向けて質問します。全国で接種に向けた準備が加速しています。なかでも、東京都練馬区では、迅速に、より多くの区民に接種ができるように大会場での集団接種ではなく、地域の診療所での個別接種を中心に行うことを決めました。この動きは大変注目され、厚生労働省は、練馬区モデルとして先進的事例で紹介する事務連絡を各自治体に発出しました。墨田区においては、先般、区長より、集団接種4カ所、個別接種7カ所の接種会場が公表されましたが、今後接種会場を増やして行く考えはありますでしょうか。また、集団接種では多数の医師・看護師・事務職員が連日必要となってきますが、具体的なオペレーションについてもどのように考えていらっしゃいますでしょうか。対象となる希望者全員が円滑に接種できるように、しっかりとしたシミュレーションを組み立て臨む必要があります。区長の所見を伺います。
次に、新型コロナウイルスワクチン接種の優先順位について伺います。医療機関外で、例えば、あはき法に基づく施術所および柔道整復師法に基づく施術所などの健康保険の対象となる医療行為を行なっている団体等については優先となっていませんが、区の判断で医療従事者と同様にこちらも優先すべきではないかと考えます。併せて、高齢者が入所・居住する社会福祉施設等において利用者に直接接する介護職員等は優先順位が基礎疾患を有する方の次(1.医療従事者、2.65歳高齢者、3.基礎疾患を有する者)となっていますが、リスクの高い高齢者に接する介護職員の接種を、高齢者と同時期に接種する必要性を感じています。必ず実施していただきたいと強く要望しますが、区長の決断を問います。
2点目は、未利用公有地等の活用・処分及び公共施設マネジメントの推進について伺います。
私達はかねてより、廃校後の校舎や用途廃止となった施設については、維持管理費削減の観点からも、速やかに解体し、今後の跡地利用を検討すべきと主張してきました。改めて、旧学校施設等の解体の考え方や、今後のスケジュールは、どうなっているのでしょうか。区長に伺います。
次に、区が保有する資産について、総合的に活用していくための体制づくりについてお伺いします。墨田区では、平成25年度の「墨田区公共施設白書」策定以来、公共施設マネジメントに取組み、施設の統合・集約による施設保有総量の圧縮、長期修繕計画に基づく施設の長寿命化などが進められています。これらの取組みについて、今後は、建物だけではなく、土地をはじめとした様々な区の資産について、経営的視点も大事にして活用を行っていく必要があるのではないかと感じています。円滑な業務遂行のため一元化し、建物に限らず、区が保有する資産について、総合的に活用するための組織的な体制を構築すべきと考えますが、区長の見解をお伺いします。
3点目は、防災や熱中症対策等の観点から学校施設等の空調機整備についてお伺いします。
先般の決算特別委員会では、学校給食調理室の空調機未設置について、学校給食衛生管理基準を満たしていない現状を早急に改善し、早期に設置すべきであるとの合意形成が図られました。早速次年度予算に盛り込まれたことには感謝申し上げます。他に、来年度は中学校の武道場についても設置予定となっていますが、どのような計画で行なっていくのでしょうか。教育長にお伺いします。
次に、指定避難所となっている旧学校施設等の今後の対応についても伺います。旧隅田小学校、旧向島中学校、立花体育館、八広地域プラザのそれぞれ体育館は指定避難所になっていますが、空調機が設置されていません。先ず、この4施設の今後の方針について、区の考え方を伺います。解体の方向であれば早期解体を、いずれ解体の方向だけれども当面の間使用を見込んでいるのであれば空調機設置は必要であると考えます。併せて、空調機未設置の現段階で、真夏や真冬の時期に万が一避難が必要となった際、代替施設の利用は考慮されているのでしょうか。また、将来的に解体の計画であれば指定避難所の変更も視野に入れた検討がされているのか、具体的な計画をお教えください。区長の所見を伺います。
4点目は、子ども・子育て支援施策について伺います。
先ず、待機児童解消に向けて、本区では積極的に保育所等への整備を行ってきました。引き続き、来年度も待機児童解消の取り組みが推進されていく予定ですが、これからは中長期的に定員割れも含めた整備計画も考慮していかなければならないと考えます。また、昨年度、ゼロ歳児が定員割れとなったことについては、ほとんど需要は1歳児に流れていることが言えると思います。私立保育所扶助要綱のゼロ歳児特別加算の見直しや、1歳児へ誘導していく施策も必要であると感じています。区長の所見を伺います。
幼稚園に関しては、私達の要望通り、私立幼稚園等の入園料補助金の引き上げにより保護者の負担軽減が図られたことは大変嬉しく思っています。一方で、区立幼稚園の適正配置や、私立幼稚園と区立幼稚園の所管の統一等の課題についてはどのように考えているのでしょうか。区長の見解を伺います。
また、区立・私立の保育園については、特に有事の際には分け隔てなく行政からの指導が行える体制作り、区立・私立幼稚園については、必要な情報が共有できるような体制作りも改めて強く要望いたします。区長の所見を伺います。
5点目は、児童虐待防止施策について伺います。
昨今、児童虐待件数の増加に加え、コロナ禍の影響が拍車をかけ、更なる増加が懸念されています。本区では来年度から児童虐待の未然防止を徹底するための新規事業を打ち出しています。この事業はどのようなことが期待され、どのように展開されていくのか、具体的な内容を伺います。
また、児童相談所設置についての区の考え方も改めて伺います。新保健施設等複合施設に児童相談機能を整備するとしていますが、どのような形とするのか、一時保護所を含む児童相談所の設置方針を明確にすべきであろうと思います。児童相談所の運営に関する都区の連携・協力を一層円滑に進めていく観点から、令和2年度都区財政調整方針では、特例配分0.1%増となりました。しかし、23区に児童相談所を設置するために必要な割合は約0.25%と言われており、財源不足が心配されます。令和4年度に再協議となりますが、今後、この点についてもどのように話し合いを進めていくのか伺います。また、児童相談所設置に関しては、児童福祉司や児童心理司などの専門職の育成・確保や児童相談所設置市事務の負担などの課題も山積しています。これらについて、先行して開設されている世田谷区、江戸川区、荒川区などからも状況を聴取し、本区も対応を考えていくべきであると考えます。区長の見解を伺います。
6点目は、学校教育に伺います。
文部科学省の中央教育審議会は、令和4年度を目途に小学校5年生と6年生の授業を対象として、中学校のように教科ごとに専門の先生が教える「教科担任制」を本格的に導入するよう答申しました。専門性が高い教員が児童一人一人の学習の習熟度に応じて指導できるようになるのが大きなメリットです。既に兵庫県では平成24年から原則全公立小学校の5、6年で教科担任制の授業を開始しており、小学校の教科担任制は、学級担任制から教科担任制になる中学進学時の学習環境の変化になじめず、不登校などが増える「中1ギャップ」の解消策としても注目されています。本区としても、学習進度に応じた指導体制の充実と、中学校教育への円滑な接続を図るため、今後どのような教科を対象に教科担任制を導入し、展開していく予定であるのか、伺います。私達は、いずれ、すべての教科が教科担任制になっていくことが理想であると考えます。教育長の所見を伺います。
次にGIGAスクール構想の推進について伺います。昨年末に各学校にタブレット端末を納品し、1月12日から22日の間に児童生徒に配布を完了したと報告を受けています。しかしながら、担任教諭が授業時間内に時間をかけて使用方法から説明し、2月に入った今もあまり活用されていないと仄聞しています。早期の活用のため、集中的に時間をとる、もしくは専門的知見の活用等を行う必要があるのではないかと考えます。教育長の見解を伺います。併せて、保護者への理解や協力を仰ぐことや、ネット環境の整備、教員のサポートなど現在の進捗状況を伺います。加えて、今後の活用方法や展望についても、教育長の所見を伺います。
7点目は高齢者の健康増進施策について伺います。
コロナ禍により、自粛の生活が続く中、自宅で過ごすことが多くなったご高齢の方には筋力などが低下していくフレイルといった別の問題も浮上しています。高齢者の方が住み慣れた地域で生き生きと暮らすために本区では「オンライン通いの場のアプリケーション」導入ほか、様々な介護予防事業を行っていますが、令和2年度の利用状況はどうだったのでしょうか。感染症予防を行いながら、毎日の生活に適度な運動、栄養バランスのとれた食事、口腔ケア等を取り入れていくことは非常に重要なことです。コロナ禍であっても、高齢者が利用しやすい施策と環境づくりを整えるとともに、介護予防や疾病重症化の抑制等その効果によって歳出削減が期待できる施策は積極的に行っていくべきと考えますが、区長の所見を伺います。
8点目は障害者施策について伺います。
来年度予算にて、私達が訴えてきた精神障害者保健福祉手帳1級を対象とした心身障害者福祉手当の拡充が図られることとなりました。引き続き、これからも障害者施策の充実を望みます。そこで、現在課題となっている重度障害者のグループホームの建設について、進捗状況をお伺いします。私達は、区内の未利用公有地の活用も視野に入れて検討すべきと考えます。区長の所見を伺います。
9点目は、産業振興施策について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、区内事業者は大きな影響を受けています。そうした区内事業者を守るため、東京商工会議所とも連携しながら早急に、現在はどういったことが一番困っているかなど実態調査を行うとともに、国や東京都の補助制度等を活用し、必要な支援策を迅速に行っていただきたいと考えますが、区長の所見を伺います。一方、錦糸土木事務所跡地に本社を構える予定の株式会社アストロスケールに代表されるように、これからの社会課題に積極的に取組もうとしている事業者の進出も期待されます。仙台市では地域経済を活性化することを目的として、概ね5年以内に株式上場の実現可能性のある地元中小企業を「仙台未来創造企業」として認定し、上場実現に向けて集中的な支援を行っています。本区においても、企業認定制度を導入し、頑張っている企業の支援強化を図るなど、攻めの姿勢で積極的な施策を行なっていくべきと考えます。墨田区は、これからどのような産業集積を目指し、地域を活性化させていこうとしているのか伺います。また、その視点は、産業観光マスタープランに、どのように盛り込まれていくのかも伺います。
緊急事態宣言解除後の消費喚起策としては、短期的に、コロナ禍による消費の落ち込みを抑制するための事業も必要と考えています。2月に予定されていたキャッシュレスポイント消費還元事業が延期というかたちになりましたが、どのようなタイミングで次回の実施を検討されているのでしょうか。年度を超えての実施となる場合も私達は支持の方向でありますが、区の考えを問います。また実施が確定した際の事業者や区民への周知方法についても伺います。
10点目は、観光施策について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、観光需要が減少しています。販売収入を財務基盤としてきた観光協会の運営は限界になっているのではないでしょうか。現在、ワクチン接種に向けた準備が着々と進んでおりますが、世界保健機構(WHO)は「いわゆる集団免疫の状態を今年中に獲得することは難しい」との認識を示しており、インバウンド需要の回復には最大4年程度かかるとの報道もあるなど、観光関連業が置かれた厳しい状況は長期化することが見込まれています。昨年の9月議会では、観光協会の財務基盤の安定化と各種事業の見直しを行うとの報告がなされました。当面の観光を取り巻く環境を踏まえながら、先ずは観光協会も会費増や、人件費の大幅削減に努めるべきということは必要であると私達は考えています。その上で、本区としても鎮静後の観光施策も見据えて、様々な委託業務を中心として行っている組織から、地域DMOなどを通じて自主事業を展開してもらう強い組織となるよう後押しできる方向へ転換していくべきと考えます。区長の所見を伺います。
次に、循環バス見直しの方向性についてです。観光と区民の利便性を目的としてきましたが、現実は、区民の重要な生活インフラとなっています。こちらについては、利用実態調査を実施したうえで、今年度中に方向性を確定するとなっていましたが、緊急事態宣言の再発令により、影響が出ているのではないでしょうか。方向性を確定するための時期と考え方を改めて伺います。また、来年度予算では「次世代モビリティ社会実験検討経費」が計上されています。どのような取り組みを実施しようとしているのでしょうか。また、その結果をどのような施策に反映させようとしているのでしょうか。区長に所見を問います。
◆山本亨区長 答弁
(1)区政運営の基本的な考え方について
まず、次年度以降の財政の考え方ですが、令和 4 年度以降の予算規模についても、区の基幹収入である特別区民税や特別区交付金の動向により、判断していく必要があるため、基本計画の改定に合わせて財政推計を行い、今後の予算規模等を検討していきます。また、計画の改定に当たっては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、景気動向の変化にも柔軟に対応できる財政的な裏付けを確保しつつ、計画の見直しも含め、各種施策を着実に位置づける必要があります。このため、計画の改定作業の中で、財政収支の想定を明らかにし、後期計画の実行性の確保と持続可能な行財政運営に努めていきます。
次に、基本計画における計画人口についてですが、11 月議会でお示しした将来人口推計は、感染症拡大の影響で、分析結果についても変化が生じる可能性があります。そこで、本年 4 月を目途に、改めて人口変動要因などのデータを分析したうえで、再度、推計を行い、計画改定の基礎資料とします。
次に、国による不合理な税源偏在是正措置等の税制改正についてですが、これによる減収が区の財政運営に多大な影響を与えていることは、ご指摘のとおりです。感染症拡大の影響が予断を許さない中で、今後の対策に係る経費も含め、大都市特有の財政需要を踏まえると、東京富裕論などの一方的な国の見解には、都と特別区が一体となって声を上げ続ける必要があります。今後も引き続き、区長会として、国に対し強く主張していきます。
(2)新型コロナウイルス感染拡大防止策の拡充について
今後、個別接種7会場の外、国から約 10 会場分のファイザー社製ワクチン対応の超低温フリーザーが提供されますので、会場を順次、増やしていく予定です。
また、練馬区方式を参考にサテライト型の接種会場も検討しており、現在、医師会と調整しています。本区の集団接種は、70,000 人の希望する区民の皆さんに、2 回接種する計画となっています。接種に向けては、医師会の全面協力の下、医師・看護師の確保に努め、川崎市での接種会場訓練を参考に、三密を避けながら円滑に進むよう準備していきます。医療従事者への接種については、国の通知により、原則、感染症患者と頻繁に接する機会がある医師等となっています。健康保険の対象となる医療行為を行っている団体については、在宅リハビリ等による訪問で、疑いの患者に接する場合もあることから、優先的に接種できる運用を検討します。
高齢者が入居する施設の従事者については、国から、重症化リスクの大きさや、施設内のクラスター防止への対策のため、高齢者と同時期に接種を行うことも差し支えないとの通
知があり、その内容に沿って準備を進めています。
(3)未利用公有地等の活用・処分及び公共施設マネジメントの推進について
まず、未利用公有地等活用の考え方についてです。
公共施設マネジメント実行計画では、用途廃止が決定した施設について、速やかに、次の用途を検討し、除却等を行うことで、維持管理費の削減を図ることとしており、可能な限り早期に除却できるよう検討しています。現状、旧学校施設で建物が残っているものは、4校ありますが、来年度は、旧立花中学校の解体工事費と、旧文花小学校の解体設計費を計上しており、残りの施設についても、財政負担の平準化等も考慮し、状況を把握しながら、順次除却をしていく計画で調整しています。なお、学校跡地を含む未利用公有地等の活用方針については、来年度、基本計画の中間改定の中で、改めて方向性をお示しします。
次に、建物に限らず、区が保有する資産を総合的に活用していくための体制づくりにつ
いてです。これまでも公共施設マネジメントの取組み等により、貸付や売却をはじめとした資産の活用に取り組んできました。今後、新型コロナウイルス感染症の影響による歳入環境の悪化も懸念される中、ご指摘のような、資産経営の視点を持った体制を整え、さらなる資産の活用を行い、新たな財源を生み出す必要があります。次年度に向けては、土地、建物、設備を含む資産について、行政を経営する観点から、最適な状態で保有したうえで管理・運営するための、一元的な体制づくりについて検討していきます。
(4)学校施設等の空調機整備について
まず、指定避難所となっている旧学校施設等の今後の対応についてです。
旧隅田小学校は、避難可能な場所が体育館のみであり、施設の老朽化等のため、地元町会から様々なご意見を伺っており、旧向島中学校についても、避難場所が体育館のみで、地域防災活動拠点会議が設置されていないことなどから、双方とも、指定避難所の見直しを含め、将来的なあり方について検討しています。なお、八広地域プラザ体育館と立花体育館については、今後、空調機の設置を検討します。
また、現段階での空調機のある代替避難施設としては、近隣の小学校、幼稚園等の公共施設を想定しています。
(5)子ども・子育て支援施策について
まず、中長期的な保育所等の整備については、令和 3 年度予算案において、待機児童対策として、認可保育所整備に係る予算を計上していますが、今後の人口推計や、保育需要の変化を的確に捉え、取り組んでいきます。
また、私立保育所扶助要綱についてですが、年齢や地域に応じた保育需要に対し、政策的に扶助制度を活用し、事業者のインセンティブを高めて経営努力を引き出すことは、待機児童解消へ向けた有効な方策の1つであると考えています。今後、既存施設の定員見直しによる有効活用と併せて、効果的な扶助制度の活用を検討していきます。
次に、区立幼稚園の適正配置や、私立幼稚園と区立幼稚園の所管の統一等の課題についてです。
区立幼稚園の適正配置については、11月議会の子ども文教委員会で報告したように、現在、区立幼稚園のあり方検討の観点から、1園の廃止を検討しています。廃止園及び廃止の時期については、今定例議会で報告させていただきます。幼稚園に係る所管の統一についてですが、私立幼稚園については、新制度への移行の際に、子ども子育て会議の意見を伺い、区民に分かりやすくするため、入園窓口機能を一本化しました。併せて、事務の専門性や効率性を踏まえた一定の整理の中で、区長部局を所管とし、区立幼稚園は教育委員会を所管としています。当面は、現在の体制で対応をしたいと考えていますが、幼稚園に係る諸課題については、教育委員会とも十分に協議を進めていきたいと考えています。
次に、私立保育所に対する指導についてです。
法令の規定、国・都の規定及び区の方針等に基づき、現在、所管部で実施している行政指導や支援等を、有事の際においても、公私の分け隔てなく効果的に実施できるよう、業務体制を整えていきます。また、区立幼稚園と私立幼稚園における情報共有については、子ども・子育て支援部と教育委員会事務局が、適時適切に情報共有を図っていますが、今回の感染症対策等について改めて検証し、緊急事態における情報共有体制を強化していきます。
(6)児童虐待防止施策について
まず、児童虐待未然防止事業についてです。
児童虐待通告件数が増加し、対症療法的な対応だけでは深刻化する事態の改善は難しいことから、都が、「予防的支援」と「早期対応」の抜本的強化に取り組むこととなりました。これを受け、区は、子育て支援総合センターに心理職などの専門職を含む専管チームを設置し、「支援が必要な家庭」の早期発見と、支援を行う仕組みをつくります。併せて、関係機関との連携強化のため、要保護児童対策地域協議会に専任職員を置き、調整力や、対応力向上を図るなどにより、児童虐待を未然に防止します。
次に、新保健施設等複合施設に整備する児童相談所機能についてです。
区児童相談所については、今年度、先行する3区で開設された一方、都と連携した体制づくりを進める区もあり、各区の状況は様々です。本区では、子育て・保健・教育の機能を持つ新保健施設等複合施設を核とした児童相談体制の構築を目指しています。これについては、令和3年度中に一時保護所も含め、一定の方向性をお示しします。児童相談所関連経費に係る都区間の財源配分については、都と区の考え方に乖離がありますが、令和 2 年度の都区財政調整協議では、特例的な対応として、55.1%となりました。今後のあり方については、令和4年度に改めて協議することで整理されていますので、区長会として引き続き、配分割合の変更を求めていきます。
次に、人材育成や児童相談所設置市事務の負担など、先行開設区から見えてきた課題については、特別区全体で共有していますので、十分な検証を行い、本区の体制整備に活かしていきます。本区としては、都との連携強化を図っていくとともに、「墨田区の子どもは墨田区が守る。」という強い意思のもと、引き続き、児童相談体制の構築に取り組むとともに、人材確保・育成などに注力していきます。
(8)高齢者の健康増進施策について
高齢者のフレイル予防に繋がる介護予防事業には、区主催事業と、自主的に活動する通いの場があります。令和2年度の利用状況は、区主催事業は、令和2年2月末から6月末まで中止していましたが、7月以降、昨年度の8割程度で推移しています。また、通いの場は、7 月以降、例年と比較し、約 7 割が活動していましたが、2 回目の緊急事態宣言が発出され、現在は約 5 割が活動しています。活動を自粛している高齢者への支援として、自宅でできる運動を区報や、YouTube、ケーブルテレビなどで紹介したり、区ホームページによる啓発、アプリ等の情報提供を行っています。現在、「墨田区高齢者福祉総合計画・第8期介護保険事業計画」を策定しているところですが、自主的に出来るフレイル予防事業、栄養バランスの取れた食事指導、口腔ケアの充実など、コロナ禍においても、より効果的な施策に取り組み、要介護の割合の減少と、健康寿命の延伸を目指していきます。
(9)障がい者施策について
重度障害者のグループホームの建設については、知的障害者向けを、旧墨田二丁目出張所跡地に、3 月 1 日開設予定で、準備が進められています。
また、身体障害者向けグループホームは、区有地を活用して整備する方向で、現在、場所を検討しており、具体的な内容については、適宜、議会に報告します。これらは、現在策定中の「障害福祉総合計画」で位置付け、着実に整備を進めていきます。
(10)産業振興施策について
まず、区内事業者への実態調査の実施と支援策についてです。
緊急事態宣言が延長されたことにより、区内経済への影響が懸念されるため、区の新型コロナウイルス対応融資を利用した事業者、約 2,000 社に相談窓口と支援策を郵送で案内します。その中から、現状分析のために必要な 300 社程度を抽出し、追加調査を実施した上で、資金調達などの支援策が必要な事業者については、すみだビジネスサポートセンターへ繋げていきます。
また、その調査結果を基に、国等が予定している新分野展開、業態転換のための補助事業を区内事業者が活用できるように支援していきます。今後とも、適宜、商工会議所等関係機関とも連携しながら、事業者支援を迅速かつ積極的にすすめていきます。
次に、区が目指す産業集積と産業観光マスタープランへの反映についてです。区内産業の将来に向けては、ものづくりを核としながらも、商業・サービス業など幅広い業種において、社会課題の解決への取組と、働きがいを両立できる事業者の集積を図っていきたいと考えています。現在策定中の産業観光マスタープランには、その考え方のもと、ミッションとビジョンを定めたうえで、ご提案の趣旨も踏まえ、実現のための戦略・戦術を設定し、その柱の一つに、SDGs の考え方を取り入れていきます。
次に、キャッシュレス決済促進・ポイント還元事業の次回の実施についてです。実施時期については、墨田区商店街連合会と緊急事態宣言が解除されるタイミングに合わせ協議することになっており、周知期間を考慮すると、年度内の実施は難しいのではないかと考えています。しかしながら、消費喚起と事業者支援という観点から、環境が整えば、早期かつ最も効果が見込める時期に実施したいと考えます。
また、周知方法については、ホームページや SNS をはじめ、ポスターの掲示やポスティン
グ、キャッシュレスアプリの操作説明会などをより充実させ、多くの区民に情報が行き届くようPR を展開していきます。
(11)観光施策について
まず、観光協会のあり方についてです。
観光協会が「観光事業の振興を通じて墨田区全体の経済発展と活性化を図り、区民生活の向上に寄与する」という組織目的を果たすためには、安定した財務基盤が必要です。観光協会が、都内唯一の登録DMOとして、地域に根差した活動をしていくための組織の在り方について検討しており、区は、その支援体制を整え、後押ししていきます。その上で、安定的な経営基盤を確保し、公益的な観点から観光地域づくりに取り組めるよう、必要な経費を補助していきたいと考えています。
次に、区内循環バス見直しの方向性についてです。
令和3年度末の協定期間の満了に向け、この5月までに、見直しの方向性を確定する必要があります。緊急事態宣言の発令を受け、延期した実態調査については、利用者の属性等を定期的に把握する必要があるため、時期を見据えて実施しますが、今後の方向性については、調査結果の取扱いも含め、議会とも丁寧に相談させていただきたいと考えています。
次に、次世代モビリティ社会実験についてです。
移動手段を取り巻く環境は、自動運転、シェアリング、電動化などの様々な技術革新が起きている一方、人口減少や、高齢社会の進展の中で、利用者の交通に対するニーズも変化しており、地域交通の最適化が課題となっています。このような社会潮流を適切に捉え、区内事業者や次世代技術を保有する事業者と連携し、バスなどの運行に AI を活用したオンデマンドサービスなど、年内を目途に実験的に実施する予定です。こうした取組も検証しながら、地域における持続可能な公共交通のあり方を検討していきます。
◆加藤裕之教育長 答弁
(4)学校施設等の空調機整備について
学校給食調理室及び、中学校武道場への空調機の設置計画についてです。今後、予算等について、ご承認いただければ、学校給食調理室については、令和3年度の春季休業及び夏季休業期間に、未設置の 17 校全校への設置が完了することを目指し、準備を進めていきます。
また、中学校武道場については、夏季休業期間を中心に工事を実施し、令和3年9月には、全中学校の武道場への設置が完了することを目指し、準備を進めていきます。
(7)学校教育に関連することについて
まず、教科担任制の導入・展開についてです。
小学校での教科担任制は、議員ご指摘のように、中学校教育への円滑な接続が図られ、いわゆる「中1ギャップ」の解消などに向けた効果や、教科指導の専門性をもった教員による、きめ細かな指導の充実が考えられます。どのような教科を対象に教科担任制を導入し、展開するかについては、東京都教育委員会が決めることになります。来年度、都内で 10 校を選定して実施される、東京都教育委員会の「小学校教科担任制等 推進校事業」に、本区は申請しています。今後、東京都教育委員会が、この推進校の検証をして、決定していくことになりますが、東京都教育委員会に積極的に意見を伝えていくことを考えています。また、議員ご指摘のとおり、全ての教科で実施することは、教員の専門性を生かすことで、児童が教科の学習内容の理解をより深めることができるとともに、教員にとっては、各教科において、系統的な指導ができるなどの利点から、全ての教科が教科担任制になっていくことが望ましいと考えます。
次に、GIGA スクール構想の推進についてです。
まず、タブレット端末活用の現状についてです。1月に端末の配布を完了し、4月からの本格稼働に向けて準備をしています。児童・生徒が端末の操作を容易にできることが、現時点での重要な課題であると考え、時間をかけて行いました。その結果、ほとんどの児童・生徒は、基本的な操作ができるようになりました。しかし、議員ご指摘のように、操作以外の授業の活用については、これからと考えており、今後、「GIGA スクール支援員」の専門的な知見を活用しながら、教育効果がある授業を進めるとともに、国や都からの情報を参考にして進めていきます。4月からの本格稼働に向けて、着実な活用を進めるとともに、できるだけ早期に教育効果を高めていきます。
次に、保護者の理解・協力についてです。「保護者向けリーフレット」、「授業でのイメージ動画」を作成して、保護者の視聴に供するなど、わかりやすく、丁寧に情報提供を図り、理解と協力をいただけるよう、進めていきます。また、ネット環境の整備では、学童クラブや図書館など、子どもが利用できる区の公共施設に、専用の Wi-Fi を設置するほか、来年度から、低所得世帯を対象に、ネット環境を提供するよう準備をしています。更に、教員のサポートでは、「GIGA スクール支援員」が学校を巡回し、教員に対する個別研修や、授業サポートなどの支援を行っていきます。
最後に、今後のタブレット端末の活用方法や、展望についてです。まず、今年度中に児童・生徒が、タブレット端末の操作に慣れ、円滑に進められるよう、朝の会では、健康観察等の確認、帰りの会では、一日の振り返りの記録などに使用していきます。また、授業では、効率的・効果的に使用できるグループ学習等で端末を活用し、児童・生徒が、より深い学習ができるように授業を進めていきます。更に、家庭では、自主的に自分の学習進度に合わせて、学習支援ソフトなどの電子教材を活用して学習を進めていくよう、指導していきます。また、タブレット端末を活用して、どのように、より深い学びができるのか、絶えず検討していくとともに、より良い指導手法を共有し、児童・生徒の学力向上を図っていきます。
◆しもむら緑 質問
大綱2点目は、公務員の在宅勤務推進について伺います。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府が東京都や埼玉県など4都府県を対象に発出した緊急事態宣言では、テレワークで出勤者を7割削減という目標も盛り込まれました。しかしながら、自粛を呼びかける側の自治体の公務員が充分にテレワークを行えていないのが現状としてあります。令和2年12月に内閣府が公表した「第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」では、テレワークを実施している業種の人の割合では、公務員は14.5%と全体の21.5%を下回り、テレワークが不向きとされる製造業28.9%や建設業17.6%よりも低い結果が明らかになりました。行政組織は、区民の個人情報を守るための独自のネットワーク環境やセキュリティ対策、区民への窓口対応などがあるため在宅勤務等の実施が難しい状況も理解できますが、同時に職員の安全を守るための感染対策や、子育てや介護にあたる職員への対応など人材確保にも影響する柔軟な働き方の実現も必要不可欠です。
先ず、昨年の4月の緊急事態宣言下、区役所の在宅勤務等の体制はどのようなものであったか伺います。個人情報保護の観点等からネットワーク環境が制限されていたなか、充分な仕事も行えなかったのではないかと推察します。現在も、全庁的な在宅勤務ではありませんが、基礎疾患を持つ職員や妊娠中の職員、濃厚接触者に該当した職員などについては、在宅勤務を可能としています。また、これから東京2020オリンピック・パラリンピックにおいて、交通抑制策の呼びかけがあり、全庁的な在宅勤務を実施する予定とも仄聞しています。今後も有事の際や働き方改革等、在宅勤務の必要性が求められるなか、自治体は、個人情報に関する事務とそうでない区別、窓口申請のオンライン化や、ペーパーレス化、Web会議導入など、区民サービスの向上と職員の働き方の改善を図っていくべきと考えます。外部の専門家の知見も取り入れながらCISO補佐官も大いに活用することなども含めて、来年度積極的に検討することを強く求めます。徳島県では、既に「在宅勤務」、「県庁版サテライト・オフィス」、「モバイル・ワーク」の3つの形態でテレワークを実施しています。決して不可能ではないと思います。できる方法を考えて推進いただける事を期待しています。改めて区長の所見を伺います。
以上で代表質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
◆山本亨区長 答弁
まず、昨年4月の緊急事態宣言下における区役所の在宅勤務等の体制については、国の要請に基づき、全庁的に実施しました。具体的には、各職場の業務内容に応じ、非常時優先業務の選定等を行ったうえで、感染予防のための業務の縮小や、ローテーション勤務など出勤人数の抑制を図りました。一方で、保健所や、福祉、産業振興の窓口職場など、感染症対策に関連する新たな業務が増加した職場への人的支援を全庁体制で行ってきました。こうした経験を踏まえ、現在の緊急事態宣言下においては、感染症対策に要する人員確保に配慮し、全庁的な出勤制限ではなく、基礎疾患や妊娠中の職員等を対象とした在宅勤務、早出遅出勤務、昼休みの分散取得等を実施しています。
次に、在宅勤務を推進していくことへの私の所見についてです。本来、在宅勤務は、平常時における働き方改革を目的とした取組であると考えています。私としては、まずはこの間に実施してきた様々な取組を検証し、ウィズコロナの時代に対応した在宅勤務の検討と、行政のデジタル化とを併せて推進し、職員の働き方の改善と、区民サービスの向上につなげていきます。また、今後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けては、都の協力依頼に基づき、開催期間中の交通混雑緩和等を目的とした、時差出勤や在宅勤務等の実施を検討しており、セキュリティ対策に万全を期した上で、Web会議システムやチャットツールの導入等、ICTを積極的に活用していきます。