平成30年第4回定例会

平成30年第4回定例会一般質問

 

◆しもむら緑 質問

 

墨田区議会、自由民主党のしもむら緑でございます。

 通告してあります大要3点につき、山本区長に質問いたします。明確で前向きなご答弁をよろしくお願いいたします。

 大要1点目は、災害時の事業継続計画(BCP)の策定について伺います。

 現在、本区では区民の生命、生活及び財産を守るため震災時の業務を円滑に遂行できるよう、墨田区事業継続計画(BCP)地震編を策定しています。しかしながら、平成22年から一度も改定が行われていません。その間、東日本大震災や熊本地震など多くの地震災害が発生し、改めて大地震発生時の初動体制や備蓄品、避難所の運営のあり方などが大きく見直される動きが各地で起こったことは、ご承知のことと思います。また、東京都に至っては、今後30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震が、70%の確率で発生することも予想されています。

 そこで、山本区長に伺います。

 平成22年当時より大きく状況も変わり、教訓を生かしたさまざまな検証も行われていることから、墨田区事業継続計画(BCP)地震編を、策定根拠となっている災害対策基本法、墨田区地域防災基本条例、墨田区地域防災計画とも整合性を図りながら、改定すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。当然ながら、想定を上回る事態も考慮し多角的に検討すべきであろうということも、付け加えておきます。

 次に、水害発生時の事業継続計画(BCP)の策定について伺います。

 昨今、震災に加え全国各地で豪雨が頻発、激甚化し、多くの被害が出ています。このことを受け、水防災意識社会再構築ビジョンの取組を、中小河川も含めた全国の河川で更に加速させ、洪水等からの逃げ遅れゼロと社会経済被害の最小化を実現するために、昨年の6月19日に水防法の一部改正が施行されました。墨田区においても、このほど発表された江東5区大規模水害ハザードマップは衝撃が大きく、対策が急がれているところです。

 震災時と水害時の対応は全く異なります。荒川等が決壊した場合、2週間以上浸水が引かない地域が本区では大半を占める中、垂直避難ではなく広域避難を考え、逃げ遅れゼロを目指す必要があります。要配慮者支援のほか区の職員も、どのタイミングで避難するかについて等も視野に入れておかなければなりません。

 そこで、区長に伺います。

 既存の地震編とは別に、水害編のBCPも策定するべきと考えますが、所見を伺います。併せて、広域避難を考えた場合の他自治体との連携や、本区にいる全ての人の逃げ遅れゼロを目指すための施策を、首長としてどのように現状を考えているのかについても、所見を伺います。

 この質問の最後に、企業の事業継続計画(BCP)策定支援について伺います。

 内閣府が行った企業の事業継続の取組に関する実態調査によると、地震を想定したBCPと比べ、水害を想定したBCP策定は進んでいないという結果が浮き彫りになりました。また、関心が最も高い地震を想定したBCPに関しても、特に中小企業においては策定済みの企業は少なく、策定中や策定検討中が多くを占める割合結果となっています。策定に至らない理由としては、策定に必要なスキル、ノウハウがない、策定する人手を確保することができない、といったことが報告されています。

 そこで、区長に伺います。

 区内に多くある工場や企業を守る施策として、災害時の被害軽減や早期の業務再開を図るため、企業の事業継続計画(BCP)策定支援を行っていただきたいと考えますが、所見を伺います。さらに、支援の中で企業の防災に対する知識も深まり、地域防災力向上に資することも期待できます。区長の考えを問い、大要1点目の質問を終わります。

 大要2点目は、住工混合対策としての公害防止資金融資について伺います。

 墨田区都市計画マスタープランにも示されているとおり、本区は住工共存地区が大多数を占めています。工場数は、都内で大田区に次いで2番目に多く、産業振興のまちとして栄えてきた我が区ですが、近年人口が増加の一途をたどり、新住民と事業者の間で、騒音などが原因となる苦情やトラブルが報告されています。現在、騒音等の対策に関しては、公害防止設備を設置する必要が認められるものや、区の環境保全課の認定を受けたものといった要件を満たした場合、限度額を3,000万円として、区が利子補助をする形で融資を行っています。しかし、環境保全課による公害防止の効果があるという認定を必要とするまでには至らないケースで、騒音や振動、臭気等の面で近隣とのトラブルになりかねない案件も多数あります。

 そこで、トラブルの予防や、又は発生後の迅速な問題解消のため、融資要件の緩和を行っていただきたいということを提案いたします。これからも、さまざまな問題が増えてくるであろうことが懸念されます。事業者と近隣住民との融和を図り、トラブルによる事業者の区外転出防止を目指すことは大変重要です。区長の、住工混合によるトラブル等の認識と解消に向けた対策、今提案した融資要件緩和についての考え、さらにものづくりのまちを守るための施策について、今後どのような展開を講ずるおつもりか、所見を伺います。

 大要3点目は、産後ケア対策について伺います。

 平成27年から28年の2年間に、妊娠中や産後に自殺した女性が全国で102人いたという調査結果を、国立成育医療研究センターのチームが今年の9月に公表しました。全国的な妊産婦の自殺数が判明したのは初めてであり、主な原因の一つとしては、子育てへの不安やストレスによって発症する産後鬱が考えられています。さらに、産後の自殺者は92人でした。そのうち半数が35歳以上であり、65%が初産とのことでした。また、無職世帯の女性の自殺率が高いという結果も明らかとなりました。

 区では、妊娠期から子育て期にわたるまでの子育て世帯への、切れ目のない子育て支援を行うため、ゆりかご・すみだ事業を実施し、産後鬱スクリーニング、産後鬱相談も、向島、本所の各保健センターで行ってきました。平成29年度の実施者は2,460人であり、そのうち高得点者は291人という結果でした。決して低い数字とは言えない中、残念ながら、その結果を受けての次の有効な対策がとられてきませんでした。

 産後ケア事業実施に関しては、宿泊型、アウトリーチ型、デイサービス型などがあります。国の母子保健衛生費国庫補助金と、都の出産・子育て応援事業補助金を併せて、平成29年度までに手を挙げていれば、国と都の全額負担で対応が可能でしたが、本区では区内医療機関等だけで検討していたため、実施に至ってはいませんでした。23区では、今年度までに17区が実施しており、6区が未実施でしたが、このほど実施の方向性や類似する対策をとる動きがあり、残るはほぼ墨田区のみといった状況となっています。このことは、大変遺憾であると言わざるを得ません。

 平成30年度からは都の全額負担ではなく、半額負担で4分の1が区の持出しとなりましたが、それでも実施に向けて我が区も動くべきと考えます。区長の所見を伺います。これまで、区内の産後鬱による自殺者は、現状報告されてはいません。しかしながら、事が起こってから対策をとるのでは遅過ぎます。区長の決断を伺い、私の一般質問を終わります。

 ご清聴、ありがとうございました。

 

◆山本亨区長 答弁 

 

ただいまの、自由民主党、しもむら議員のご質問に順次お答えします。

 最初のご質問は、災害時の事業継続計画(BCP)の策定についてです。

 まず、墨田区事業継続計画(BCP)地震編の改定についてですが、本計画は平成22年3月の策定後、既に8年以上が経過しており、この間、東日本大震災、熊本地震等全国各地で地震災害が発生しています。また、平成24年4月には首都直下地震による東京の被害想定が改定され、併せて本区の地域防災計画も修正しました。災害時の応急復旧業務の的確な実施や業務継続の確保を図るため、それぞれの災害から生じた課題や教訓、直近の被害想定等を十分に勘案し、事業継続計画地震編を早急に見直す必要があるものと認識しており、今後、改定に向けた具体的な検討に入ります。

 次に、水害発生時のBCPの策定についてです。

 全国各地で発生している土砂災害や河川氾濫等、これまでにはない気象変化が顕著になっています。本区においても、大規模水害による被害は甚大なものになると想定されています。そのため、地震編の改定作業の中で、水害対応のBCP策定の可能性について検討していきます。

 水害対策に関する私の考えですが、大規模水害に対する備えや広域避難の重要性等、区民への意識啓発に引き続き取り組むとともに、国・都における広域的な検討を注視しながら、他の自治体との連携も踏まえた広域避難場所の確保等、実効性のある広域避難の実現に向けて検討を進めていきます。

 次に、企業の事業継続計画(BCP)策定支援についてです。

 災害時に企業が被害を軽減し業務を早期に再開できるよう、BCP策定を促進することは大変重要です。現在、東京都中小企業振興公社が、BCP策定支援講座や実践に係る費用助成制度等を実施し、東京商工会議所においても策定支援を実施していますので、まずはこれらを積極的に案内し、区内企業への普及に努めていきます。また、今後すみだビジネスサポートセンターにおいても、企業BCP策定に関するセミナーを定期的に開催するなど、必要となるスキルやノウハウの向上を支援していきます。これらにより、各企業におけるBCP策定が促進されることが、地域防災力の向上にもつながると認識しますので、引き続き支援を進めていきます。

 次に、住工共存対策についてです。

 以前では当たり前であった、生活の中に工場があるというすみだの風景が変化し、近年では工場の減少と、その跡地におけるマンション等の増加に伴い、新しい住民の皆さんも増えています。また、それとともにすみだが産業のまちであるという認識が希薄化している状況にあります。このような中で、区内の一部の住工共存地域においては、古くからの事業者との間で、ご指摘のようなトラブルに関する事例が発生していることは認識しており、先日、東京商工会議所墨田支部との意見交換の機会でも、ご意見をいただいたところです。

 住工混合によるトラブル等の解消に向けては、住民と事業者の相互理解促進に取り組んでいきます。公害防止資金融資については、現在、一般的な防止設備の設置等について対応していますが、この融資の要件に至らない軽度な騒音や振動、臭気等の予防や解消を図ることを目的に、来年度に向け要件を緩和した新たな融資制度の創設を検討しています。このように、事業者側の積極的な予防措置を設けることにより、事業者と近隣住民との融和や、トラブルによる事業者の区外転出防止に取り組んでいきます。

 次に、さらにものづくりのまちを守るための今後の展開についてです。

 地域に仕事があり、働き続けられる場があることは、私が目指すまちづくりの姿でもあります。墨田区においては、ものづくりの歴史は古く、現在も製造業で働く人の割合が高いことがこのまちの特徴であると言えますので、今後ともものづくりを守り、支援していく必要があります。今年度の産業振興会議では、産業支援施設のあり方を中心に議論し、産学官金連携による産業支援体制の再構築が提言されました。また、ものづくりのまちのブランディング手法についても、再検討を始めています。これらの議論を踏まえ、今後の産業振興施策の展開を考えていきます。

 最後に、産後ケア事業についてです。

 今年9月に国立成育医療研究センターから、妊産婦死亡の原因は産後鬱による自殺が最も多いという報告がなされ、本区においても、妊娠期から出産後の切れ目ない支援が重要であることを、改めて認識しました。新たな産後ケアについては、昨日までもご答弁しましたが、これまでは産褥期の方の移動の負担等を考慮し、区内の医療機関に絞った施設の確保の検討に時間を要したため、ご指摘のような状況となっています。近隣区の医療機関や区内助産師の協力の意向が得られたことから、ショートステイやアウトリーチ等、さまざまな手法について効果的な方法を検討し、必要な対象を見極めながら実現に向けて迅速に準備を進めていきます。

 以上で、自由民主党、しもむら議員のご質問に対する答弁を終わります。