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平成26年第3回定例会  ​

平成26年第3回定例会一般質問

 

 

◆しもむら緑  質問 

 

    自由民主党のしもむら緑でございます。通告してあります大要2点につき、山崎区長の明確で前向きなご答弁をよろしくお願いいたします。

 大要1点目は、防災対策について伺います。

 先般、高円宮妃殿下ご臨席のもと、横網の東京都慰霊堂にて、関東大震災、都内戦災遭難者秋季大法要がとり行われました。墨田区は、焼死者4万8,000人という甚大な被害をもたらした関東大震災から91年目を迎えました。そして、平成23年3月11日に起きた東日本大震災からは3年半が経過しました。私自身、議員として皆様に区政へと押し上げていただき3年半、今、改めて墨田区の防災対策について考えさせられるのです。これまでの教訓により、山崎区長が常におっしゃっている、極めて災害に弱い地域特性を有しているこの我が区の防災策は、どのように強化されたのでしょうか。

 近年、異常気象に伴い集中豪雨、ゲリラ豪雨、落雷などによる被害が、全国各地で広がっております。9月10日、墨田区においても大雨洪水警報が発表され、時間80ミリメートルを超える大雨が降りました。一部、道路の冠水や床下、玄関の浸水といった被害があったと報告も受けております。

 現在、我が区は200年に一度の大雨を想定し、墨田区洪水・水害ハザードマップを作成しております。しかし、このような現況下、いつ何が起きてもおかしくないという心構えで対策に臨む必要があると思います。

 今回は震災対策に特化しますが、まず本題に入る前に区長に伺います。

 もし、明日大きな災害が起きて、我が区と他区をつなぐ橋が全て落ちてしまったとしたらどうしますか。高速道路も壊滅、そのようなシミュレーションをされたことはありますか。そうなった場合、区民の安心・安全を守るため、どのような対策をお考えでしょうか。また、災害時、誰が中心に墨田区内にいる方々を守るのでしょう。当然、我々もそうですが、一番は区の職員の方々です。そう考えると、今大きな災害が起きた場合、職員の皆さんは全員そろわれた状態で率先して動ける体制なわけですが、これが夜中や休日に起こったとしたらどうなるでしょうか。

 現在、区役所職員の方々は、全員で何人いらして、その中で区内在住の方は何人で、区外在住の方は何人いらっしゃるのでしょうか。そのほか、町会、自治会、消防団といった皆さんの協力も大変重要です。しかしながら、墨田区では新しいマンションが急激に増え、町会にも入らず、近隣住民との関係も希薄といった深刻な事態も起きています。このような現状を踏まえ、想定外ということが起こらないように、墨田区の防災対策をさらにどのように考えていくのか問題提起をし、第1点目の質問に移ります。

 第1点目は、墨田区の災害医療計画について伺います。

 平成7年1月17日に起きた阪神・淡路大震災での教訓を基に、地域で耐震、耐火構造にすぐれ、災害医療の中心になり得る災害拠点病院が全国で指定されました。初期の対応としては、地域内にそれぞれ配置された医療救護所でトリアージを行い、重症患者から優先的に災害拠点病院に搬送していくこととしていました。災害拠点病院以外の病院は、後方医療施設という位置付けがなされていました。

 しかし、実際東日本大震災が起こったとき、地震発生直後には医療救護所の開設が難しかったということ、外傷などの災害医療を行うには設備が不十分であったということ、そして何より負傷者は病院を目指してしまい、医療救護所に集まりにくかったという結果が浮き彫りとなりました。また、災害拠点病院以外の後方医療施設と位置付けられていた病院にもけが人が多数集まりましたが、事実上災害医療計画外であったため、行政の支援が得られなかったという事態も報告されています。

 それらを受け、新しい災害医療計画では、災害拠点病院以外に指定医療機関を増やすことと修正されました。具体的に、東京都の地域防災計画によれば、災害拠点病院を主に重症者の収容・治療を行う場所として、救急告示を受けた病院等で都が指定する災害拠点連携病院を主に中等症者や容体の安定した重症者の収容・治療を行う場所として、災害拠点病院と災害拠点連携病院以外を災害医療支援病院と位置付け、専門医療、慢性疾患への対応、区市町村地域防災計画に定める医療救護活動を行う場所として、それぞれの医療機関の役割が明確に打ち出されています。

 そこで、山崎区長に伺います。

 墨田区では、この新しい災害医療計画を受け、現在、どのような進捗状況となっているのでしょうか。区内にある災害拠点病院は、都立墨東病院と白鬚橋病院の二つ、救急告示医療機関を含む災害拠点連携病院は六つとなっています。

 定期的に開かれている災害時医療救護体制検討会では、区内の医師会、歯科医師会、薬剤師会の皆さんが、大規模な災害発生後、直ちに指定の災害拠点連携病院に集合し、そこでトリアージを行い、軽症者はその後区が定めた緊急医療救護所へ、重症者は災害拠点病院へなどといった処置をとる計画も挙がっていると仄聞しています。緊急医療救護所の設置場所も既に確定しているのでしょうか。さらに、災害拠点病院と災害拠点連携病院以外の病院は、本区としてはどのような位置付けなのでしょうか。

 東日本大震災の教訓にもあるように、負傷すれば人の心理として最初に向かうところは病院です。災害時どこへ行けば適切な治療が受けられるのか、早期に確定した段階で区民への周知徹底もどのように行っていくのか大変重要であると考えます。これらの現状と今後の対応について、併せて伺います。

 次に、建物の安全性とライフラインの機能の確保について伺います。

 災害拠点病院は、診療機能を有する施設が耐震構造を有していることとなっていますが、そのほかの災害拠点連携病院などについて、耐震診断や耐震化状況はいかがでしょうか。また、水、食料、自家発電に必要な燃料等、ライフラインの機能は十分考慮され確保されているでしょうか。特に、重症患者を受け入れる災害拠点病院については、自家発電燃料の確保など、必要不可欠です。

 東京都議会平成24年第3回定例会の自民党代表質問に対し、当時の石原都知事は、「災害時の医療提供体制を確保するために、全ての病院を対象に、耐震化や自家発電設備に対する都独自の支援を行っております」と答えていますが、我が区の現在までの状況を伺います。

 続いて、東京都は初動医療体制の確立の一つに、災害拠点病院の近接地にヘリコプター緊急離着陸場を確保するようにと指定しています。我が区の場合、都立墨東病院は屋上の都立墨東病院専用臨時ヘリポートを、白鬚橋病院は東墨田一丁目の区立東墨田運動場という指定がなされています。都立墨東病院は何かあった際も瞬時の対応が可能ですが、白鬚橋病院は緊急時でありながら陸路が絶たれてしまうという最悪の事態を想定すると、対応の大幅な遅れが懸念されます。もともと、大規模救出救助活動拠点として、自衛隊や救助部隊等のベースキャンプといったオープンスペースの確保に墨田清掃工場が指定されていることから、さまざまな利便性を考えてのことだとは思いますが、それとは別に、いざというときのために白鬚橋病院近くに緊急離着陸場を確保しておくという再検討を行っていただきたいと思います。区長の見解を伺います。

 第1点目の質問の最後に、災害拠点病院となる白鬚橋病院は、東武伊勢崎線曳舟駅前への移転が予定されています。今後は移転先に拠点が移されるのでしょうか。それとも、移転後も災害拠点病院としての位置付けは現在の東向島四丁目のままなのでしょうか。大変重要なことですので、現段階で決定していることをお聞かせください。

 第2点目は、帰宅困難者対策と要援護者の避難行動支援対策について伺います。

 東日本大震災の際、首都圏では交通機関の機能が麻痺し、大量の帰宅困難者が発生するという事態に陥りました。従来の防災対策の盲点とも言え、大きく震災対策を見直すきっかけともなりました。

 東京都も昨年4月、「都帰宅困難者対策条例」を施行しました。その中では、公助だけでは限界があることを認め、自助、共助の重要性が明確化されています。23区内でも、現在いざというときに備え、民間施設と協定を結ぶなど、さまざまな帰宅困難者対策が急がれていますが、けが人を出さず、二次災害も起こさないよう、いかに帰宅困難者を一時滞在施設に誘導できるかが共通の大きな課題となっています。

 また、国際観光都市を掲げる我が区の場合、観光客への対応も重要な課題となります。大きな災害となった場合、住民用と帰宅困難者用の施設を分ける必要性も考えられます。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催も決定し、より一層の観光客も見込まれる中、墨田区では今後どのような対策を考えておられるのか、区長のご所見を伺います。

 本区では、今月22日より防災マップアプリの使用が開始となります。そこには、区民モードと帰宅困難者モードを選択することができ、周辺避難施設への誘導も可能なようですが、これからこのアプリをどのように区内外の方々に周知徹底させ、活用させていくおつもりでしょうか。仮に通信がストップし、こちらのアプリが使用できない状況に見舞われた際は、やはり紙媒体などが有効と考えられますが、その場合はどのように誘導を行っていくのでしょうか。

 また、先ほども申し上げたとおり、行政だけでは限界があり、地域の方々の協力や東武鉄道をはじめとした民間事業所の協力も必要不可欠です。現状、どのような協議を行っているのでしょうか。併せて伺います。

 続きまして、要援護者の避難行動支援対策について伺います。

 東日本大震災では、犠牲となった方々のうち、65歳以上の高齢者の割合が約60%であり、障害者の死亡率は被災住民全体の2倍となりました。ここで明らかになった課題を踏まえ、平成25年6月に災害対策基本法が改正され、災害時の要援護者名簿の作成、名簿情報の提供等についての規定が設けられました。墨田区も「墨田区災害時要援護者総合支援プラン」を策定していますが、これらを受け、修正される予定はありますでしょうか。

 次に、平成25年第4回定例会で我が会派の中沢えみり議員が、新学校防災計画策定を提案したことについて触れさせていただきます。

 乳児、幼児の生命を守るため、地域の連携体制が必要不可欠だと指摘した上で、現在各園の防災計画が独自のものであるため、区立、私立の保育園、幼稚園、小中学校共通のガイドライン策定をお願いしました。そのときの山崎区長の答弁は、「ご指摘のとおり、乳幼児の災害支援を含め、災害時要援護者対策は非常に重要な課題であると認識をしており、こうした支援は、日ごろからの相互理解が必要であることから、地域の連携体制がより一層強化されるよう、今後も拠点会議などの場で議論を深めてまいりたい」というものでした。その後、拠点会議ではどのような議論が深められたのでしょうか。また、これら指摘したことは、区内全ての高齢者施設や障害者施設の対応にも同様に当てはまる重要な提案だと思います。改めて区長の見解を問います。要援護者の避難行動支援対策について、新たに見直された点があれば、それも含めてお聞かせください。

 大要1点目、最後の質問は、防災対策強化に当たって3点提案をさせていただきます。

 1点目、今年7月、葛飾区が23区初となる葛飾区内の病院と災害時救急車緊急搬送協力協定を締結しました。災害時、区からの要請により、病院から救急車、救急救命士、看護師の派遣が可能とのこと。是非、大規模な災害に備え、都からの要請を待つだけではなく、区独自としても救急時の対策を強化するという点からも、墨田区内の病院と葛飾区と同じような協定を結んでいただきたいと考えますが、区長のご所見を伺います。

 もっとも、身近な安心・安全を守るため、本来、消防行政は区主導で行うべきではないかと考えさせられるきっかけでもあります。区長の考えを問います。

 2点目、陸路が絶たれた場合などを想定した災害時の舟運利用について提案いたします。

 墨田区は、平成25年2月に公益財団法人東京都公園協会と「墨田区船着場等の利用に関する協定書」を締結いたしました。平常時はもとより、災害時の協力体制として、区が出船を要請した場合には、協会は協会が運航する水上バス等を利用して、緊急物資や帰宅困難者等の輸送に協力するものとしています。平成25年3月には、水上バスを利用した民間協力団体及びボランティアの輸送、受入れ訓練も行われました。河川に囲まれた我が区にとって、災害時の舟運利用は欠かせないものと考えます。墨田区に限らず、こうした動きはほかの自治体でも見られます。

 平成24年12月、品川区では、屋形船を保有している民間事業所と「災害時における民間事業所施設の使用に関する協定」を締結しています。区の要請に基づき、人員や物資等の輸送だけではなく避難者等の一時待機施設としても提供されるとのことです。先月は、港区が台場地区への屋形船などを使った物資などの輸送訓練を23区初として行いました。

 そこで提案です。河川に囲まれた墨田区としては、災害時、北十間川や横十間川も利用するとなった場合、水上バスでは不可能です。現在、観光用としてクルージングを行っている民間事業所とも是非協定を結んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。隅田川や横十間川沿いに面した病院もあり、何かあった際、負傷者や救急物資を運ぶことも可能です。区長のお考えを伺います。

 3点目、区民の生命を守るため、全区民への防災ホイッスル、若しくは防災ブザーの配布を提案いたします。これらは、被災時に家屋が倒壊し、中で身動きがとれなくなってしまった際、音を鳴らすことで相手に居場所を知らせることができます。特に、東日本大震災以降注目が高まり、最近は防災グッズなどにも取り入れられています。

 お隣の荒川区は、早々に一昨年度から2年がかりで「生命を守るホイッスル」配布を自治体初として全区民へ試みました。配布されたホイッスルには蓄光シールが貼られ、暗闇でも所在地が分かるように本体もストラップも光る仕掛けとなっています。また、本体には住所、氏名、性別、血液型、薬品アレルギー、常備薬、緊急連絡先などを記載する身分証明シートが収納できるようにもなっています。普段はホイッスルもブザーも防犯用としても役立ちます。区長のご所見を伺います。

 以上、防災対策について、質問、提案をしてまいりましたが、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定した今、テロ対策についても真剣に考えていかなければなりません。区長の危機管理体制が問われています。地方自治の原点は、区民の安心・安全を守ることであり、国際観光都市を掲げる墨田区のトップとして、区長には是非力強いリーダーシップを発揮していただき、これからの防災対策にも取り組んでいただきたいと強く要望し、大要1点目の質問を終わります。

 大要2点目は、行財政改革と自主財源確保について伺います。

 一つ目は、行財政改革推進に関して、経常収支比率目標から質問いたします。

 墨田区行財政改革実施計画によれば、財政基盤強化として、平成27年度の経常収支比率目標は80から85%と掲げられております。平成23年度から今日まで、90%台を推移してきた中で、どのような根拠を基にこの目標を設定されたのか、具体的な取組を伺います。

 二つ目は、区民税等の徴収についてです。

 きっちり税金を納められている方が損をすることがないようにという指摘は、これまでにもさせていただきました。その上で、他会派からも提案があった公金徴収一元化は、現在区としては考えていないとの意向を平成26年度予算特別委員会では明確に示されました。しかしながら、各課縦割りで情報の共有ができていないという点は、今後改善する必要があると思います。情報共有一元化の必要性を訴えますが、区長のご所見を伺います。

 三つ目は、職員数の削減について伺います。

 行財政改革の一環として、職員数の削減に努めるのはよいが、それだけに特化し、明日の墨田区を担う職員が育たないということや、行政サービスの質が低下するようなことがあってはならないと、過去の一般質問でも指摘いたしました。平成26年度の予算特別委員会では、新しくスタートしたメンターの導入に関しての担当者の答弁を受け、一層危惧しているところであります。

 答弁内容は「新規採用職員が増えているということと、現在先輩と言える職員が少なくなっている。特に、30代の職員が減っているということがございます。そういったことからも、やはり技術を継承する、また、人材を育成するという意味で新規採用職員から、そういったことに組織的に対応していくということが大切ではないかということで、今回採用したものでございます」というものでした。これまでの職員数削減により、何か弊害は生じていないのでしょうか。今後の職員数削減目標も含めて、区長のご所見を伺います。

 四つ目、墨田区では、平成26年度にソフトウエアのサポート終了に伴うシステム再構築が行われ、それに伴って、職員の業務改善基本方針として、聖域なきペーパーレス化を進めていくと掲げられております。大幅なコスト削減と仕事の効率が上がるペーパーレス化を進めていくという共通の意識を全職員に持っていただき、全庁一丸となって取り組んでいただきたいと、過去の一般質問でも要望しましたが、その後の進捗状況をお聞かせください。

 五つ目、今回の代表質問でも少し触れましたが、公共施設の見直しについて伺います。

 全国でも公共施設の老朽化への対応が急がれているところであります。施設の老朽化は、大規模な災害が発生した場合、より危険性も増します。本区では、昨年度「墨田区公共施設白書」を基礎資料として、「墨田区公共施設マネジメント実行計画」を策定しました。しかしながら、その後は遅々として進んでいない状況が見受けられます。老朽化が特に進んでいる保養所や区民施設、維持管理費が多額な大規模施設等については、早急に着手するとしていますが、現在の検討状況をお聞かせください。

 六つ目、未利用公有地等の活用、処分について伺います。

 限られた資産の有効活用を図るため、未利用公有地等について、効果的な利用方法を検討するとともに、利用が見込めない場合には、貸付け、売却も行うと区の意向が示されていますが、これまでの進捗状況を伺います。

 続いて、自主財源の確保について質問いたします。

 「墨田区行財政改革実施計画」の中に記載されている収入確保によれば、自主財源確保のため広告収入を得ることができる新たな広告媒体の検討や公共スペース、公共施設駐車場の利活用による収入確保など、新たな収入確保について検討するとなっています。

 平成24年度はそれらの検討を行い、平成25年度は庁舎等における電子広告の導入に向け、関係各課との協議、また指定管理施設における自動販売機の設置基準を策定との取組を掲げておられますが、その後の具体的な進捗状況をお伺いいたします。

 最後に、私からも自主財源確保のため、ネーミングライツを販売する提案をさせていただきます。

 命名権の売却については、以前から会派内でもさまざまな議論が行われてきました。味の素スタジアムやヤフオクドームといった競技場をはじめ、日本の民間企業の間では14年ほど前からこうしたビジネスが広がっています。

 昨今、その流れは都市を中心に全国の自治体にも広がりを見せています。例えば、渋谷区では渋谷区立区役所前公衆トイレほか、区内の11カ所の公衆トイレの命名権を売却しました。トイレの命名権販売は珍しく、マスコミも飛び付き、企業名の宣伝効果も予想以上にあったようです。そのほかにも、文化施設や道路など、あらゆる公共施設の命名権がさまざまな自治体で民間企業に売却されている事例があります。

 財政状況が厳しい中、いかに今あるものを有効活用し、自主財源を確保していくかということは、非常に大切だと思います。また、企業にとって、命名権の獲得は自社の宣伝活動の一環であるため、ある程度知名度がある、人通りが多いといった施設でなければ成立しません。墨田区の場合、すみだトリフォニーホールをはじめ、そのほかの公共施設や区道なども一度検討の余地があると考えます。区長のご所見を伺います。

 この質問の終わりに、行財政改革推進等は大変重要な取組でありますが、目先のことだけにとらわれず、10年後、20年後、50年後といった先まで見通し、是非実現可能な目標を立てていただきたいとお願いし、私からの質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。

   

◆山崎昇区長   答弁

 

 ただいまの自由民主党、しもむら議員さんからのご質問に順次お答えをいたします。

 防災対策に関する具体的なご質問の前に、幾つかの問題提起がございました。

 まず、地震発生のシミュレーションに関するご懸念でございます。

 区では、平成24年に公表された「首都直下地震等による東京の被害想定」のうち、区内で最も大きな被害の発生が想定されるマグニチュード7.3、震度6強を基準といたしております。この中では、ご質問のような橋や高速道路が崩壊する想定にはなっておりませんが、万が一そのような事態が発生した場合には、交通ネットワーク及びライフラインの応急復興に係る計画を速やかに策定し対応することとなります。

 一方、各道路管理者は、それぞれの管理する橋梁等が崩壊しないよう、耐震化工事や落橋防止装置の取付けなども行っているところでございます。

 次に、夜間、休日における職員態勢についてでございますが、災害対策本部が整うまでの間、臨時非常配備態勢をとることとしております。具体的には、区の庁舎等から4キロメートル圏内に居住する一般職員と8キロメートル圏内に居住する管理職員がまず参集し、初動対応をすることとなります。参集する職員数は、現在806人となってございます。なお、区内在住職員は、全職員のうち3割に当たる563人でございます。

 次に、新住民に対する対応でございますが、本区の転入手続の際、防災啓発パンフレットを配布しているほか、今年度「防災マップ」を全戸配布することとしており、その中で防災訓練への参加をはじめとして、自分たちの地域は自分たちで守るという共助の重要性を周知してまいりたいと存じます。

 首都直下地震は、いつ起きてもおかしくないと言われており、万が一の発災時には、災害対策本部長である私の統率のもと、全職員が一丸となって災害対応に当たることで、区民の負託に応えていく所存でございます。

 それでは、ご質問の第一、墨田区の災害医療に関する計画についてから、順次お答えをいたします。

 ご指摘のとおり、東日本大震災の際は、大勢の負傷者が病院に殺到し、治療に混乱を来したことや医療救護所の開設も困難であったと聞いております。

 このことを受けて、都は地域防災計画を修正し、災害医療体制の大幅な見直しを行い、発災からのフェーズを従来の2区分から6区分に細分化し、特に発災から72時間に関する医療救護体制を明確化いたしました。その中で、病院を主に重症者の対応を行う災害拠点病院、中等症者の治療を行う災害拠点連携病院、それ以外の病院を災害医療支援病院と位置付けることになりました。

 ご案内のとおり本区では、都立墨東病院と白鬚橋病院が災害拠点病院として位置付けられており、六つの救急告示病院が災害拠点連携病院として災害時の連携体制が図れるようになっているところでございます。

 区内でも多くの死傷者が救急告示病院に集まることが想定されていることから、災害時には区内の医療関係者が病院の敷地内に参集し、連携しながらトリアージを行い、重症度と緊急度を順位付け、迅速に救急・救命活動ができる仕組みを構築いたします。

 加えて、今回の東京都地域防災計画の改定では、区の役割として、発災直後から軽症者の対応を行う緊急医療救護所を立ち上げることとなっております。現在、区では、医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会の皆さんと「災害時医療救護体制検討会」を開催し、災害時の救護体制のあり方について検討をさせていただいているところでございます。

 今年度は、緊急医療救護所の設置・運営方法、各会との連携方法を定め、迅速に医療救護活動を行うことができるよう、「墨田区災害時医療救護活動マニュアル」の改定を行う予定でございます。また、その中で緊急医療救護所への職員の参集体制についても明確化する予定であり、災害拠点病院、災害拠点連携病院以外の病院の位置付けや区民への効果的な周知方法も検討してまいりたいと存じます。

 次に、区内病院等における建物の安全性とライフライン機能の確保についてでございます。

 ご指摘のとおり、災害拠点病院につきましては、診療機能を有する施設は耐震耐火構造を有することとされており、また全ての施設が耐震耐火構造であることが望ましいとされております。区内の病院については、災害拠点病院、災害拠点連携病院ともに耐震診断を実施した上で、必要な耐震化工事を既に行っていただいております。その他の病院につきましても、耐震化が必要な病院については、同様に工事を実施されていると聞いておりますが、改めて確認を行ってまいりたいと存じます。

 次に、ライフライン機能の確保状況についてでございますが、災害拠点病院及び災害拠点連携病院においては、全ての病院に自家発電機などの設備が設置され、水、食料、燃料などの備蓄がなされております。区としても、引き続き十分な備蓄に努めるようにお願いをしてまいる所存でございます。

 次に、医療機関近接地のヘリポート確保についてでございます。

 離着陸場が整備されていない災害拠点病院のヘリポートにつきましては、東京都が近隣に整備・促進することとされております。ヘリコプターの離着陸には、一定規模の土地が必要であり、白鬚橋病院の周辺には適地の確保が困難な状況であることから、しもむら議員さんご指摘のとおり、東墨田運動場が指定されております。区といたしましては、現在、白鬚橋病院の移転が計画されていることを念頭に、東京都と連携し、適地の確保を図れるように努めてまいります。

 また、災害拠点病院であります白鬚橋病院の東武伊勢崎線曳舟駅前への移転後、災害拠点病院として指定となるかについてですが、東京都からは移転後も指定基準が確認され次第、引き続き、その機能を担っていただく予定であると聞いております。

 次に、帰宅困難者対策についてでございます。

 区では、これまで帰宅困難者を収容する一時滞在施設や備蓄スペースの確保に向け、事業者との協定締結や東京スカイツリー内に危機管理ベースを整備するなどの対応を図ってまいりました。

 今後の対策でございますが、本年9月22日から「墨田区防災マップアプリ」の配信サービスを開始いたします。このアプリは、事前にダウンロードすることで、災害時に通信が不通となった場合でもマップの使用が可能なものとなっており、災害時における帰宅困難者の迅速かつ正確な避難誘導に資するものと考えております。今後、区報、区ホームページ、ケーブルテレビや総合防災訓練における周知のほか、防災関係機関や大規模集客施設に対しましても、本アプリを広くPRしていく予定でございます。

 また、今後区内駅周辺の案内板に、一時滞在施設の情報を表示し、帰宅困難者の避難誘導を図ることとしております。しもむら議員さんご指摘のとおり、帰宅困難者対策は行政だけの努力では限界があることから、現在、東京スカイツリーを擁する押上駅周辺地区において、鉄道事業者や民間企業のご協力をいただきながら、駅前滞留者対策協議会の設置に向けて準備を進めているところでございます。

 次に、災害時要援護者の避難行動支援対策についてでございます。

 本区においては、国の法改正に先立ち、平成19年に「墨田区災害時要援護者総合支援プラン」を策定し、要援護者名簿の作成及び関係機関への提供を行ってきたところでございます。したがって、平成25年の災害対策基本法の一部改正を受けて、本プランを今、直ちに修正する予定はございませんが、今後とも地域における要援護者支援の受け皿となるサポート隊の結成を一層促進してまいります。

 次に、地域防災活動拠点会議における災害時要援護者支援対策についてでございます。

 各拠点会議においては、区が配布した「避難所運営マニュアル」を基に、乳幼児や高齢者、障害者など、要援護者への避難行動支援対策を念頭に置いた議論が行われ、それらを踏まえた各種訓練が実施されております。また、その中では、高齢者みまもり相談室が新たに拠点会議に参加した事例もございました。

 今後とも、本年度設置した「女性の防災対策懇談会」からの提言を踏まえた対策や避難所運営マニュアルの改訂を適宜行うなど、拠点会議における参加機関の連携を深め、要援護者対策の取組を促進してまいります。

 次に、災害時救急車緊急搬送協力協定についてでございます。

 ご指摘のとおり、葛飾区は区内三つの病院と災害時に病院救急車や救急救命士の出動を要請し、災害拠点連携病院から災害拠点病院に重症者を輸送できるようにする協定を行ったと聞いております。大規模な災害発生時は、多数の傷病者が出ることが想定されることから、患者の搬送方法については、東京消防庁など関係機関と情報共有をしながら検討する必要があります。

 東日本大震災の際は、道路に車があふれ、区内でも車での通行が困難になったことが記憶に新しいところでございます。国は、災害時の救急車両の通行について、その通行を妨げる放置車両を国や地方自治体が持ち主の同意なしで撤去できるよう、災害対策基本法を改正することとして、秋の臨時国会に改正案を提出する予定であると聞いております。そのような国の動向を見極めながら、災害時の患者の迅速な搬送体制を構築してまいります。

 次に、災害時における舟運の利用についてでございます。

 災害時における舟運の利用は、道路交通の寸断への備えとして重要であると認識しており、本区においては、東京都公園協会との協定締結や水上バスを活用した各種訓練を実施してきたところでございます。

 ご提案をいただきました観光用クルージングを行っている民間事業者との災害協定につきましては、事業者の意向や他区の事例等を調査の上、検討させていただきたいと存じます。

 次に、全区民への防災ホイッスル等の配布についてでございます。

 本区においては、平成18年度からの防災フェアにおいて、防災ホイッスルの配布を行うとともに、区民向けにあっせんする防災用品に加えることにより、安価で購入できるようにするなど、普及・啓発に努めているところでございます。

 また、平成24年度から、健康に不安を感じている区民が、氏名、連絡先や薬剤情報等を記載し、冷蔵庫に保管することで、救急隊が迅速な救急活動を可能にする、「墨田区救急医療情報キット」を作成し、墨田区薬剤師会加盟薬局を通じて配布を行うなど、高齢者みまもり相談室と連携して、65歳以上のひとり暮らしの高齢者にも順次配布を行っております。

 今後も、これらの取組を継続し、災害時における区民の生命と財産を守るため、さまざまな対策を講じてまいりますので、ご理解のほどお願いをいたします。

 次に、行財政改革と自主財源の確保についてでございます。

 まず、経常収支比率について、行財政改革実施計画における平成27年度の目標値を80から85%に設定した根拠についてでございます。経常収支比率は、一般的には70から80%が適正水準とされておりますが、本区におきましては、歳入に占める特別区民税の割合が23区平均よりも低いことなど、財政基盤が脆弱であることや計画を策定した平成23年度はリーマンショック後の景気低迷が引き続いていたなどの要因を勘案して、80から85%と設定をいたしました。そして、その目標値の達成に向けて、歳入の確保と経常的な経費削減に努めてきたところでございます。

 なお、平成25年度決算では、前年度から4.3ポイント改善し、88.4%となっており、引き続き努力をしてまいります。

 次に、区民税等の徴収における情報の共有化についてでございます。

 徴収における情報には、滞納有無の情報、所有財産の情報、家族関係の情報等、多岐にわたってございます。しもむら議員さんご指摘のとおり、情報の共有化を徴収強化につなげられないかという点については、私も課題として認識しているところでございます。今後どのような情報をどのように共有、活用すれば徴収率の向上に寄与するのか、十分に検討させていただきたいと存じます。

 次に、職員数の削減による弊害についてもお尋ねがございました。

 現在、行財政改革の取組の一環として、民間委託等の推進や事務事業の見直し等により、平成23年度から5年間で100名の職員数の削減を目標に取り組んできており、本年4月1日現在までに62名の削減をいたしました。

 一方で、近年の大量退職に伴い、新規採用職員も増えてきております。また、新たな行政需要や法改正等に伴う対応など、喫緊の課題として取り組まなければならない事業に対しては、職員を増員し、めり張りを付けた定員適正化の推進に取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、お尋ねのように職員数の削減によって弊害が出ることは、区政運営に支障を来すことであり、あってはならないことと認識をしております。したがいまして、職員のスキルアップを図るなどの人材育成に重点を置き、メンターの育成をはじめ、技術の継承やOJTを推進し、職員一人ひとりの資質の向上と組織の活性化を図ることで、効率的かつ効果的な行政運営を推進してまいりたいと存じます。

 また、今後の職員数の削減目標でございますが、平成28年度からの新たな行財政改革実施計画に基づき、退職者の動向、民間への業務委託及び指定管理者制度等の活用状況等を踏まえ、総合的な視点で職員数については削減をしてまいりたい、そのように存じます。

 次に、ペーパーレス化についてでございます。

 ペーパーレス化は、環境に配慮したグリーンICTを推進する上で不可欠な課題でございまして、今回進めておりますイントラネットの再構築において、「聖域なきペーパーレス化の全体方針」を定め、現行帳票の10%削減を目標として取り組んでいるところでございます。具体的には、今年度グループウエアをはじめとした文書管理、財務会計、庶務事務等のシステム更新を行うことに併せて、端末、プリンターに不要な印刷を少なくする仕組みなども取り入れてまいります。また、これまで進めてまいりました起案、決裁事務の電子化についても引き続き拡充するとともに、会議資料や区の刊行物の電子化など、体系的に整備をしてまいります。

 次に、公共施設の見直しについてでございます。

 ご質問にもございましたとおり、本年7月に墨田区公共施設マネジメント実行計画を策定し、施設の適切な維持保全や運営方法の見直し、機能転換や複合化等による施設の有効活用などに計画的に取り組んでいくことといたしました。

 区の公共施設の多くが、長年地域のシンボルとして親しまれ、また、多数の区民等にご利用いただいておりますことから、施設の整理統合などの方向性が決まった場合には、その趣旨や代替機能等につきまして利用者等に丁寧にご説明し、ご理解をいただくように努めていく必要がございます。

 一方で、利用者の安全確保の観点から、耐震性能や施設の老朽化に対する対応は、時間の猶予がないことから、実行計画でお示しした施設について、おのおののスケジュールを念頭に、着実に取組を進めてまいりたいと存じます。

 次に、未利用公有地等の活用、処分の進捗状況についてでございます。

 現在、本区における未利用公有地等は、大小合わせて21カ所あり、その中には学校統廃合跡地も複数あり、その活用が大きな課題となっております。現在、旧木下川小学校跡地への民間の特別養護老人ホームの誘致や、旧西吾嬬小学校、旧曳舟中学校跡地への4年制総合大学の誘致、鐘淵中学校跡地への陸上競技場の整備などの計画を進めているところでございます。

 その他の公共施設では、老朽化が著しい両国公会堂の跡地に刀剣博物館を誘致し、両国地域のさらなる活性化を図ってまいります。

 このほか、方向性が決まっていない未利用公有地等につきましては、次期基本計画策定の中で、さまざまな手法を検討の上、方向性を見極めるとともに、利用が見込めない場合には貸付け、売却を検討してまいります。

 次に、行財政改革実施計画に掲げている自主財源の確保の進捗状況でございます。

 電子広告の導入につきましては、収入確保に向け、広告を掲載することのできる庁舎案内板の設置を進めており、現在、設置事業者選定のためのプロポーザルを実施しているところでございます。

 また、指定管理者施設における自動販売機の設置基準の策定につきましては、指定管理料の減額も視野に入れ、昨年度、適正な設置台数や利用者への利便性向上、利用者への収益還元などの視点に立った設置の考え方をガイドラインとしてまとめたところでございます。

 最後に、ネーミングライツについてのお尋ねでございます。

 ご提案のありましたネーミングライツにつきましては、命名権の売却によって安定的な収入が得られることやスポンサー企業の知名度を活用できることなどから、平成15年度に新たな財源確保策として検討した経緯がございます。しかしながら、さまざまな課題もあり、現時点まで実現には至っておりませんが、引き続き導入に向けて検討を行ってまいります。

 一方、今回すみだ北斎美術館の寄付金募集に際し、オフィシャルスポンサー制度を導入し、行政とスポンサー企業との連携を図る取組を進めているところでございます。是非ご理解をいただきたいと存じます。

 以上、私からのご答弁でございます。

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