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平成29年第2回定例会  ​

平成29年第2回定例会一般質問

 

◆しもむら緑 質問

 

 墨田区議会自由民主党のしもむら緑でございます。通告してあります大要3点につき、山本区長、加藤教育長に質問いたします。明確で前向きなご答弁をよろしくお願いいたします。

 まず、大要1点目は、今年度修正された墨田区国民保護計画にのっとって伺います。

 北朝鮮は、国際社会の厳しい非難と制裁にもかかわらず、今年に入り、既に12発の弾道ミサイルを発射しました。金正恩政権となった2011年度末から、少なくとも計53発が発射されたとも言われています。と、当初、冒頭はこの文章を書いておりましたが、今朝方また更に北朝鮮が飛翔体を複数発射したとの速報が飛び込んでまいりました。戦争の悲惨さを学び、恒久平和を希求する日本において、このような行為は断じて許せるものではありません。強く抗議するとともに、我が国も決して対岸の火事などではなく、いつ起こるか分からない脅威からどのように国民を守っていくかが、大変重要な課題であります。

 そこで一つ目は、J-ALERTについて伺います。

 J-ALERTとは、弾道ミサイル情報や緊急地震速報等、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を、人工衛星を用いて、防災行政無線やケーブルテレビ、緊急速報メール等が自動で起動され、国が送信した緊急情報を直接住民へ瞬時に伝達することができるシステムです。

 そこで伺います。全ての区民が確実に情報を受け取ることができるように、J-ALERTによる自動起動が可能な情報伝達手段をより多く確保する必要があると考えますが、区の計画を伺います。併せて、耳の不自由な高齢者や聴覚障害をお持ちの方の対応等についても伺います。

 次に、防災行政無線やその他情報伝達機器について伺います。

 防災行政無線は、以前より改善されたものの、いまだに聞こえにくいというご指摘を区民の方からいただきます。本区は、5カ年計画で防災行政無線のデジタル化に向けて整備するとしていますが、これまでとどのように変わるのでしょうか。また、情報伝達機器に関しては、設置して終了ではなく、設定及び動作状況、停電時の電源確保や日常的な点検も定期的に行うことが重要であると思います。区長の所見を伺います。

 続いて、昨年11月、区内においてJ-ALERT全国一斉情報伝達訓練が実施されたことについて伺います。

 いざというときに備え、瞬時に行動ができるように、区職員のみならず、区内にいる方々も一緒になって実践的な訓練も行っていただきたいと要望します。併せて、現在、区のホームページでは、武力攻撃等に備えた内閣官房国民保護ポータルサイトや、「わが家の国民保護マニュアル」などを掲載していたり、冊子もつくられたりしていますが、まだまだ知らない方が大勢いらっしゃいます。今後周知徹底も強く要望します。区長の考えを伺います。

 二つ目は、避難住民の誘導等について伺います。

 区長は、国や都から避難の指示を受けた場合、平素に策定しておいた避難実施要領のパターンを参考にしつつ、各執行機関、都、警視庁、東京消防庁、自衛隊等の関係機関の意見を聞いた上で、避難の指示の内容に応じた避難実施要領を、的確かつ迅速に策定するとしています。

 そこで伺います。平素に策定しておいた避難実施要領のパターンを参考にしつつとありますが、本区では策定はされているものの、2008年以来、一度も見直しが行われていません。早急に地域の実情に応じた避難実施要領のパターンの見直しが必要と考えますが、区長の所見を伺います。また、見直しを行う方針であれば、いつまでに策定を行うのか明確な時期もお示しください。

 三つ目は、避難場所について伺います。

 弾道ミサイル落下時の行動については、できるだけ近くのコンクリート造りの堅牢な施設や地下街、地下駅舎等の地下施設へ避難の指示がなされることとなっています。そこで、地下へ避難することとなった場合について伺います。

 墨田区ではどこへ避難すればよいのか。公共施設、民間施設を含め、把握をされているのでしょうか。観光客も含めて、区内にいる方々が緊急時、地下へ避難となった場合、公共施設だけでは到底収容できないと考えます。あらかじめ、避難可能な民間施設も洗い出し、非常事態が起きた際には、昼夜問わず協力していただけるよう、協定を締結しておく必要があると考えますが、区長の見解を伺います。

 四つ目は、医療の提供について伺います。

 武力攻撃事態等への対処となった際、防災時に締結している医師会、歯科医師会及び薬剤師会とどのような協力協定となっているのでしょうか、詳細を伺います。併せて、負傷した方々の安否情報等を、避難住民や医療機関などの関係機関から収集し、当該情報を都へ報告するとなっていますが、個人情報の取扱いとなるため、区職員が慎重に扱うというのは当然ながら、関係各所とどのように対応することとなっているのか、具体的な詳細を伺います。

 この質問の最後に、区長の意思決定案件について伺います。

 国民保護計画は、本来あってはならない万が一の事態に備え、国民の生命と財産を守るための計画です。大要1点目の質問要旨を考える中で、政治の持つ意味を改めて考えさせられました。政治とは決定すること、行政はそれを執行することだと捉えることができますが、その決めることのメルクマールの一つに、平和・平穏な社会を築くことが言えると思います。朝、おはようございます、行ってらっしゃい、行ってきます、夜、ただいま、お帰りなさいなどという日常的な会話が交わされ、日々の素朴な生活が担保されるのは、平和があればこそです。

 今回は、武力攻撃があった場合について主に取り上げましたが、昨今、世界各地で一般人を巻き込んだ大規模なテロが発生する事態も後を絶ちません。私たちの日常の平和・安寧を破るような国際的テロが、当然日本国内で起こらないとは言えない状況です。ましてや、世界一の電波塔がそびえる東京スカイツリーをはじめとした観光名所に対する標的という意味でも、注意しなければならないと思っています。

 そのほか、質問では触れませんでしたが、国際化が進展している現在、墨田区在住の外国の方々や、外国人観光客を守るための対応を、具体的にどうしていくかも大きな課題であります。そのことを十分念頭に置いていただいているものとして伺います。

 このような非常事態が起きた際、区長がリーダーとして区内の現場の状況を正確に把握し、逐一判断と決断をし、関係各所へ退避などの指示をしなければならない案件が幾つも発生すると思われます。「後の責任は自分が持つので実行に移すように」という場面も起こるかもしれません。当然、そのような重大決定は、区職員の皆さんに委ねることはできないわけです。予期せぬ事態に迅速に対応するために、区長がしっかり意思決定と指揮命令ができるよう、ある程度事前にシミュレーションを行い、何か起こったときに臨機応変に動ける体制を整えておく必要があると考えます。これは防災対策についても同じことが言えます。最高責任者としての区長の覚悟と所見を伺います。

 大要2点目は、東京オリンピック・パラリンピックも見据えた国際観光都市すみだのおもてなしについて伺います。

 3年後の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、本区のおもてなしについての質問を、今後幾つか取り上げていきたいと考えていますが、今回は観光に訪れる海外の方々から見た墨田区のイメージアップも兼ねて、区内でも数多くの店舗があるコンビニエンスストアの中に置かれている成人雑誌への対応について質問いたします。

 千葉市が、今年の夏から一部のセブンイレブンにおいて、店内で販売されている成人雑誌の過激な写真等を色付きフィルムで隠すといった事業を試験的に行うと発表しました。市内にある幕張メッセでは、オリンピック・パラリンピックで計7競技が開催される予定となっており、外国人観光客が増えることを踏まえて、地域のイメージダウンを避けるのが狙いとして実施するとのことです。表現の自由に関する一定の配慮は必要ですが、一方で、国や宗教の違いから、驚いたり不快な思いをしたりする外国人観光客の方々がいらっしゃるのは確かです。まちのイメージアップとは、このように小さなところから始めていかなければならないとも思います。

 墨田区としても、外国人観光客へのおもてなしという観点も含め、東京オリンピックの競技が予定されている両国国技館周辺や、駅からの動線のコンビニエンスストアに置かれている成人雑誌については色付きフィルムで覆うといった対応について、是非検討していただけないでしょうか。

 日本国憲法で保障されている表現の自由は、その内在的制約として公共の福祉による制約に服することとなっており、問題はその制約の範囲をどこまで認めるかということであります。出版者の表現の自由に対して、外国人観光客が成人雑誌を見ることなく、静穏のうちに買い物をする自由を保障することは、国際観光都市として立地する本区としてあるべき姿なのではないでしょうか。区長の所見を伺います。

 また、このことに限ったことではなく、東京オリンピックでボクシング会場となっている本区において、今後どのような国の方々が関心を持ち、訪れる可能性があるのかも予測し、例えばハラール対応の充実など考慮していくべきと思います。国や宗教の違う方々のおもてなしについて、改めて区長の所見を伺います。

 大要3点目は、新学習指導要領実施に向けた現場対応について伺います。

 まず、今回の学習指導要領の改訂により、義務教育現場における英語授業のあり方が大きく変わることについて伺います。

 小学校では、2020年度から小学校5・6年生で英語を教科化、成績評価のない外国語活動を3・4年生からスタートさせるという方針が打ち出されました。東京都に限っては、2018年度から先行実施されることが決まっています。しかし、東京都が実施した2015年度小学校外国語活動等の実施状況調査において、英語指導の授業づくりに対して不安が大きいという教員の声が明らかになっています。

 文部科学省は、国の研修を受けた英語教育推進リーダーから研修を受けた中核教員を2万人養成し、全小学校に配置するという計画を進めるとしていますが、区の現状を伺います。

 現在、本区は英語教育推進リーダーが1名在籍していると仄聞しています。今、その方が中心となり、小学校教員に向けた英語活動研修会を実施し、中核教員養成を行っているとのことですが、現在の進捗状況や見えてきた課題、成果を伺います。

 本格実施に向けて、英語教育推進リーダーと指導主事とともに全小学校を回り、学校側の悩みを聞きあるいは助言を行って不安を払拭していくといった取組も実施されていますが、現在の状況を伺います。また、浮き彫りになった具体的な課題と、そのことを受けての区の対策について伺います。

 教員の資質向上のため、今後更なる研修の充実や資格取得に向けた後押しなども考えているのでしょうか。こちらも伺います。

 続いて、小学校における英語授業が将来35時間増えることへの本区の対応について、既存の授業からどう組み込んでいくのか伺います。

 小学校における英語教育を円滑に推進するためには、学級担任、ALT、専科教員、外国人教員など柔軟に取り入れていく必要があると考えますが、加配等も含め教育長の現段階の考えを伺います。

 次に、中学校の英語の授業を、原則としてオールイングリッシュで行うようにと変更されることについて伺います。

 英語を母国語で分かりやすく指導する能力と、第二言語を使って、なおかつ生徒に分かりやすく指導する能力は別物と考えます。指導方法を誤ると、全く授業が理解できない子どもたちが出てくるのではないかと懸念します。中学校教員に対してどのように研修等の対応を行っていくのか、区の対応を伺います。

 続いて、小学校で新たに必修化される、思考力を鍛えることが狙いのプログラミング教育について伺います。

 日本では、まだなじみのない言葉ですが、アメリカ合衆国やシンガポールなどでは、既にこの教育に大変力を入れています。昨年、フィンランドでも、小学校のプログラミング教育が必修化されました。一方、イギリスでは、子どもたちに教える前に、教員へのプログラミング教育を推進する動きが見られています。

 プログラミング教育は、教員の指導力に左右される部分が如実に表れ、本当に文科省が示している目的どおりに子どもたちが正しく学べるのかという不安が拭えません。こちらも、どのようにあらかじめ教員の研修を行い、授業にも盛り込んでいかれるのか対応を伺います。併せて、これを機に、各自治体で導入が広がりつつある小学校・中学校全児童・生徒へタブレットの配布もあり得るのか、本区の計画も伺います。

 最後に、新学習指導要領実施に向けて、子どもたちが困ることがないように、教員が現場でしっかり対応していくことができる万全の体制構築を改めて強く要望します。それに加え、今回の改訂に限らず、これまでも文科省がさまざまな教育方針を示し、最後は結局自治体や現場任せということが多く散見されるので、対応に当たる立場として、現場で明らかになった課題を抽出し、必要であれば国へ意見を上げていくことも大切ではないかと考えます。もちろん、これらの考え方の根底には、国際化が加速し、それに対応しながら、世界市民的発想で教育をグローバルに捉える考え方を具体化する方向で練られてきたであろうことは推測はしていますが、その上で教育長の考えを伺います。

 以上で、私からの一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

   

◆山本亨区長  答弁

 

 ただいまの自由民主党、しもむら議員のご質問に順次お答えします。

 最初のご質問は、墨田区国民保護計画についてです。

 第1点目のJ-ALERTに関して、何点かご質問がありました。

 まず、J-ALERTによる情報伝達手段としては、防災行政無線をはじめ、各町会の戸別受令機及び防災ラジオ、各学校等に設置されているケーブルテレビ事業者による緊急告知放送端末装置などを通じて発信されます。また、同時に通信会社からは文字による緊急速報メールが流れるほか、テレビ、ラジオ等を通じた情報伝達が行われることとなっています。

 区では、これらの多様な情報伝達手段について、区ホームページへの掲載や、冊子「わが家の国民保護マニュアル」の配布などを行っており、さらには耳の不自由な高齢者や聴覚障害をお持ちの方等の要配慮者を含め、区民の皆さんへ適切な方法で周知していきます。

 次に、防災行政無線の改善についてのご指摘ですが、現在デジタル化を含む機器の整備を行っており、非常用電源の拡充、屋外スピーカーの更新により、音響の改善を図ることができると考えています。また、日常的な点検については、現在も定期的に実施しています。

 次に、J-ALERT全国一斉情報伝達訓練についてですが、本区においても、昨年の訓練に参加し、事前に区報等で周知した上で、区民に向けた一斉放送を行いました。今後も、国の情報伝達訓練などに合わせて、継続的に訓練を実施します。

 なお、国民保護に関する区民への情報提供については、さまざまな情報媒体や機会を捉えて、更なる周知徹底に努めます。

 第2点目は、避難住民の誘導等に関する避難実施要領パターンの見直しについてです。

 平成20年に作成し、現在においても活用可能なものと考えていますが、国の基本指針や今日的な課題と整合性が図られているのか、改めて今年度中に精査します。

 第3点目は、避難場所についてです。

 J-ALERTによる情報伝達があった場合には、国が示す国民がとるべき行動に従い、屋外にいる場合には近くの頑強な建物や地下に避難する、屋内にいる場合には窓から離れることなどが必要ですが、地下へ避難する場合には、地下鉄施設への避難が想定されます。区内に地下施設を有する鉄道事業者は、国民保護法に定める指定公共機関に当たることから、それぞれが国民保護業務計画を策定し、避難者への対応を含めた体制整備に努めています。また、民間施設への協力については、難しい課題もありますが、大規模集客施設との自然災害時における協定締結の際に、併せて協力依頼ができないか検討していきます。

 第4点目は、医療の提供についてです。

 医療体制については、自然災害と異なり局地的な対応になることも考えられますが、基本的には災害時と同様に対応することとしており、医師会、歯科医師会及び薬剤師会との協定については、墨田区地域防災計画に基づき、災害協定を締結しています。国民保護計画では、この協定を活用し、当該機関に協力を要請することにしています。なお、三師会はいずれも国民保護法に定める指定地方公共機関であり、墨田区国民保護協議会のメンバーとして連携しています。

 安否情報の取扱いについては、国民保護計画に定める方法により対応することとしており、情報の収集は原則として安否情報に関する総務省令の様式を用いて行うこととなっています。特に、個人情報の保護は十分留意しつつ、関係機関が厳格に情報収集及び提供を行うこととしています。

 最後に、区長の意思決定案件としての対応についてですが、日ごろから災害対応訓練や職員参集訓練を実施するなど、危機管理体制の改善等を図るとともに、私も訓練に参加して、非常事態のシミュレーションを行っているところです。

 非常事態に際しては、区民の安全を最優先に守らなければならない私自身が先頭に立ち、強いリーダーシップのもと、最高責任者として的確な指示を行い、対応します。

 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックも見据えた国際観光都市すみだのおもてなしについてです。

 まず、成人向け雑誌販売に関する現在の取組状況ですが、東京都では条例に基づき、青少年が閲覧することが適当でない旨の表示をした図書類などについて販売規制を行っています。また、本区においても、毎年7月の青少年非行・被害防止全国強調月間を中心に、コンビニエンスストアに対して、青少年の非行防止対策への協力を求めています。

 ご質問にあるような有害図書への対応は、オリンピック・パラリンピックを契機として、社会のあり方を見直していこうという意義ある取組であると考えます。

 今大会は東京で開催されることから、大会の一体性の観点が重要と考えますので、東京都や組織委員会の対応を見据え、本区としての対応を検討していきます。

 次に、おもてなしの観点から、国際観光都市宣言を行っている本区としての対応についてです。

 東京2020オリンピック・パラリンピックが、江戸文化を発信できる両国のまち、国技館で、競技期間の長いボクシング競技が開催されることから、文化や宗教等の異なる外国人の方が訪れることが予想されます。オリンピック精神の中では、異文化を相互理解することが掲げられており、多様性を認め合うことが、おもてなしの心を醸成する第一歩だと考えており、ご指摘のハラール対応の充実などもその一つであると思います。私は、オリンピック・パラリンピックへの対応を通じ、この理念をすみだの地域に浸透させていきたいと考えています。

 以上で、自由民主党、しもむら議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。

   

◆加藤裕之教育長 答弁

 

 自由民主党、しもむら議員のご質問に順次お答えします。

 初めに、新学習指導要領に基づく小学校5・6学年の英語の教科化と、3・4学年における外国語活動の実施を見据え、教員の不安を払拭するとともに、指導力を高め、英語教育の充実を図ることは重要であると考えております。

 ご質問にありました英語教育推進リーダーにつきましては、本区には国の研修を受けた教員1名が在職しておりますが、東京都では国に先駆けて、海外での研修経験のある教員を英語教育推進リーダーとして加配措置を行っているため、この教員を推進リーダーとして活用しております。

 教員の研修に関しては、本区の英語教育推進リーダーを講師として、年間7回、各小学校の担当者を集めた英語活動研修を実施するとともに、指導主事と英語教育推進リーダーが全小学校を巡回訪問し、英語活動の授業を実際に見るなどして、各校の担当者への指導・助言等を行っております。

 研修の成果といたしましては、英語の教科化等に向け、教員の研修意欲が高まり、各校におけるリーダー役を務める教員の育成が図られてきていると認識しております。

 研修及び巡回訪問の課題としましては、英語を使った指導に不安感を持つ教員も少なくないため、本年度は各校への訪問回数を2回に増やし、授業の観察だけではなく校内での研修会指導も行えるようにして、より多くの教員に、直接的に指導・助言を行っていきます。

 教員の資質向上に向けては、教員が指導方法を学ぶだけではなく、教員個人の英語力の向上を図る内容も研修に取り入れていきます。教員の資格取得については、昨年度から都が行っている英語免許状取得促進事業を活用するほか、都教職員研修センターが実施している英検などの資格取得につながる研修を周知し、教員が積極的に受講していくよう働き掛けていきます。

 次に、小学校における英語授業時数ですが、現在高学年で行っている外国語活動では、現行の学習指導要領に示している35時間よりも15時間多い50時間を実施しています。土曜授業を実施し、授業時数に余裕を持たせるなどしているため、既存の教科・領域等の指導時間を外国語に替えることは現段階ではしておりませんが、教科化によりさらに年20時間増える授業時間数を確保するため、東京都教育委員会の事例研究発表会等を参考にして、引き続き工夫していきます。

 外国人講師等の活用については、小学校英語教育を円滑に進めるために、平成27年度から27時間から41時間に配置時間を増やしております。また、小学校の英語専科教員や加配等の教員配置については、都教育委員会に属する権限であり、今後の方針等を注視していきます。

 次に、中学校英語の授業を原則としてオールイングリッシュで行うことについてですが、区で行う研修等については、区中学校教育研究会外国語部会と連携して取り組みます。また、本年度より、都教育委員会が行う中学校英語科教員対象の悉皆研修や都教職員研修センターでの指導のあり方や英語力向上等の研修受講を活用し、中学校教員の指導力と英語力をともに高めるための働き掛けを行っていきます。

 次に、プログラミング教育に関する質問についてです。

 プログラミング教育の教員向け研修ですが、今年度は、管理職・主幹教諭対象のICTマネジメント研修において、プログラミング教育の導入について行いました。文部科学省の示すプログラミング教育は、いわゆるパソコンに向かいプログラムコードを打ち込むといったものだけを指すのではなく、問題の解決に必要な手順があることに気づくなど、いわゆるプログラミング的思考を育成することを求めており、現行の教科の中に適切に組み込むものとしています。

 こうしたプログラミング教育の意図については、区教育委員会による教育課程の説明会等で十分周知を図りつつ、実際にパソコンを使って平易なプログラミングを行う授業の指導方法等と併せて、教員研修において取り上げていきます。

 また、全児童・生徒へのタブレット端末の配布についてですが、児童・生徒に配備されているパソコンをタブレット型に順次入れ替え、各教室での授業に活用できるようにしており、当面はこのような計画を進めているところですが、今後国の指針等の動向を注視しながら検討し、順次適切に対応していきます。

 今回の改訂の趣旨は、議員のご指摘のとおり、グローバル化や情報化等の社会的変化に対応したものであると認識をしております。特に、新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目の新設、社会に開かれた教育課程の実現や主体的・対話的で学びの深い視点からの学習等、課題が多数あるため、教育委員会としては、新学習指導要領への対応を今年度の重要教育課題として捉え、必要な準備を進めております。

 各校での準備の進捗状況を確認し、指導・支援をしていく中で、必要に応じてその課題を国や都に意見や要望を伝えていくことをしたいと考えております。

 以上で、自由民主党、しもむら議員のご質問に対する答弁を終わります。

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